ACジャパンCM学生賞は、日本の未来を担う若い世代が、広告制作を通して公共広告への理解を深め、また、社会に主体的に関わる「公」への意識を育むことを目的として、社会へ向けた新しいメッセージを期待する賞で、2005年より毎年開催しています。
第10回の参加校は28校、176作品のいずれも高水準の作品が集まりました。そのなかから、一次選考、二次選考を経て、ファイナリスト46作品が選出され、3月11日に行われた最終選考会において、グランプリ1作品、準グランプリBS民放賞1作品、部門賞4作品、優秀賞17作品、奨励賞17作品を決定いたしました。
3月26日には、汐留電通ホールにて表彰式が行われ、受賞者にはトロフィーと表彰状が、後援のBS日本 代表取締役社長 赤座弘一氏、選考委員長 アサツー ディ・ケイ 石井利始氏、ACジャパン 専務理事 狩野雄司から授与され、受賞者たちの心を込めた作品に対する賞賛と励ましのメッセージが贈られました。
尚、グランプリ作品および準グランプリBS民放賞作品は、2014年7月1日より、BS民放8社で1年間にわたり放映される予定です。
グランプリ「誰かの一食」

- テーマ:食べ残し
- 日本大学芸術学部
- 齋藤 凛(制作代表者)
藍原 萌・中島 涼香・髙橋 弦人・岩河 笑愛・塩谷 明日美・武藤 由莉・金山 甲斗・長島かずな
- 〈作品寸評〉
- 食糧廃棄問題は、世界規模で課題となっているテーマだが、学生らしい身近な視点から、食糧資源の大切さや無駄をわかりやすくメッセージし行動を促す表現に、評価が集まりグランプリ受賞となった。
準グランプリBS民放賞 「1の大切さ」

- テーマ:若者の選挙離れ
- 日本大学芸術学部
- 江間 結衣(制作代表者)
荒谷 穂波・渡辺 睦未・本間 那月・池田 亮・望月 ちひろ・中木屋 峻
- 〈企画意図〉 制作代表者:江間 結衣
- 私達若い世代は、選挙に行かない人が多い。作品では、多くの若者、学生が共感できる身近な“1”の大切さで興味を誘い、その1と選挙の1とで、1票の重みを改めて考えてもらうことを願った。
- 〈作品寸評〉
- 若者の選挙離れを、軽快な音楽と、セリフ、カットで構成したユニークな表現に、思わず笑ってしまった。
最後の「大切な1票」というオチに、評価が集まった。
部門賞

- アイデア賞
- 「居なくなる」
- テーマ:少子化問題
- 文星芸術大学
- 中島 ひとみ(制作代表者)
久保田 倫幸・島田 泉・芹田 貴昭・三田 彩加・阿久津 倫平・伊東 春佳・岩上 汐梨・大出 明梨・小堀 真穂・櫻井 佑香・中島 竜二・町井 健吾
- 〈作品寸評〉
- 少子化を、若者らしいアイデアで仕上げた作品。グランプリ候補にもなったが、「落としどころなどで、この問題で傷つく人に対して、もう少し配慮があればよかった」などの意見も出された

- 表現技術賞
- 「自転車ドミノ」
- テーマ:放置自転車
- 日本大学芸術学部
- 朝倉 舞彩(制作代表者)
金沢 知枝・海野 萌・三橋 飛鳥・喜多 甲陽・塩谷 明日美・大橋 靖弘
- 〈作品寸評〉
- 放置自転車の迷惑行為を、「ドミノ」を題材にして、テンポのある音楽と映像で表現。若者らしい感性でつくられた作品内容が支持された。

- コピー賞
- 「駆け込み乗車」
- テーマ:駆け込み乗車の迷惑防止
- 武蔵野美術大学
- 橋本 拓哉(制作代表者)
松本 紗羅
- 〈作品寸評〉
- 駆け込み乗車によって開閉が繰り返されるイライラ感を、アニメーション技法を使ってユニークに表現。迷惑な状況を誇張した「あたなだけの朝ではない」というコピーが評価された。

- 審査員特別賞
- 「拡声器」
- テーマ:インターネット社会のモラル
- 東京藝術大学
- 川上 奈々(制作代表者)
上水樽 力・鈴木 勝貴
- 〈作品寸評〉
- 制作者の学生が、日頃感じているSNSやスマホなどの、インターネット社会のモラルをテーマに描いた作品。若者の感覚で仕上げた表現内容に得票が集まった。
優秀賞

- 「スマートサイクリング?」
- テーマ:自転車マナー
- 東京藝術大学
- 山東 龍太(制作代表者)
青柳 呂武

- 「言い訳電車」
- テーマ:電車マナー
- 同志社女子大学
- 上野 紗綾(制作代表者)
大野 郁実・古澤 南帆

- 「歩きスマホ、つづけますか?」
- テーマ:歩きスマホの注意喚起
- 日本大学芸術学部
- 田中 佑果(制作代表者)
佐藤 萌香・佐藤 可奈子・吉野 新・山田 聡美

- 「誰のため?」
- テーマ:交通ルール
- 武蔵野美術大学
- 岩崎 菜奈子

- 「モラルさん」
- テーマ:吸い殻のポイ捨て
- 東京デザイナー学院
- 上田 ゆりさ(制作代表者)
高橋 菜々子・上野 大樹・市村 有紀・久米 崇仁・水戸部 りさ

- 「ボリューム↓」
- テーマ:公共マナー
- 名古屋学芸大学
- 小林 桃子(制作代表者)
森永 彬

- 「身近な幸せ」
- テーマ:一人ひとりの考え方
- 東京藝術大学
- 崎山 礼加(制作代表者)
上水樽 力

- 「日本語ブス」
- テーマ:日本文化
- 日本大学芸術学部
- 弓削田 麗雅(制作代表者)
間所 珠世・田中 佑果・齋藤 凛・TJONG EKA DEVI・弓削田 淳史・黒川 遼・草刈 孝・ 栄美紀・長尾 舞夢・角 健士

- 「あなたの手かもしれない」
- テーマ:環境問題
- 京都造形芸術大学
- 小井 聖令奈

- 「スマホはおしゃぶり?」
- テーマ:スマホ依存
- 東海大学文学部
- 石井 星太郎(制作代表者)
井上 麻衣・河尻 卓土

- 「マネできるマナーを」
- テーマ:路上マナー
- 京都精華大学
- 田島 裕(制作代表者)
工藤 寛也・長谷川 佳那・日野 杏奈・藤井 麻菜見・水田 裕樹夫

- 「あいさつの花」
- テーマ:挨拶の推奨
- 同志社女子大学
- 前田 恵莉(制作代表者)
西村 望美・松原 礼実・稲畑 成美

- 「平成の桃太郎」
- テーマ:セキュリティ意識啓発
- 名古屋大学大学院
- 杉浦 央晃

- 「ムダオ~こまめに抜いてスマートに~」
- テーマ:節電
- 武蔵野美術大学
- 林 絵子(制作代表者)
野中 彩美

- 「ひとふり ひとふり」
- テーマ:公共マナー
- 京都造形芸術大学
- 山田 菜都美

- 「最高の勝負服」
- テーマ:笑顔の大切さ
- 東京藝術大学
- 久保 あずさ(制作代表者)
山下 優・高木 章・足立 喜一・白石 須美子

- 「Mr.SESUJI」
- テーマ:背筋を伸ばして前向きに
- 武蔵野美術大学
- 木村 文香
奨励賞
- 「つながると笑顔になる」
- テーマ:人と人とのつながり
- 日本電子専門学校
- 勝又 拓海(制作代表者)
王 瞳・日向 彩子・劉 性秀・楊 伝鈺
- 「あなたの手」
- テーマ:思いやり・助け合い
- 大阪芸術大学
- 中野 未来(制作代表者)
和泉 翔太・岡田 理沙・坂本 弘樹・小田 恭平・柳瀬 崇博・上田 理央
- 「ヒーロー」
- テーマ:いじめ
- 武蔵大学
- 小澤 光生(制作代表者)
森 しおり・田原 悠・谷治 愛香
- 「国民病コミュ障」
- テーマ:コミュニケーション
- 長岡造形大学
- 平島 桂子
- 「3年後の富士山」
- テーマ:環境問題
- 玉川大学芸術学部
- 倉片 美帆(制作代表者)
丸山 友理恵・山口 祥子・福島 有夏・矢野 瑞華
- 「地球のマナー」
- テーマ:電車内でのマナー
- 横浜美術大学
- 丸藤 美樹(制作代表者)
高瀬 明日美・野渡 泉・金子 智美 ・早川 和紗・影山 勇気・小原 早也香
- 「めったにない毎日」
- テーマ:日常への感謝
- 武庫川女子大学
- 生柄 夕貴(制作代表者)
坂口 莉永・徳永 萌
- 「SNSの裏側」
- テーマ:コミュニケーション
- 駒沢女子大学
- 遠藤 沙恵(制作代表者)
越智 皐・川島 萌・児玉 理沙子
- 「あなたの言葉が子どもをつくる」
- テーマ:言葉による虐待
- 相模女子大学
- 小松 里衣(制作代表者)
石田 汐菜・鎌田 彩花・坂本 真里 ・戸部・絵里南・湯目 智美
- 「僕」と「私」
- テーマ:性同一性障害
- 龍谷大学
- 佐藤 遥(制作代表者)
土屋 汐里
- 「婆ちゃんの遥かな道」
- テーマ:思いやり
- 城西国際大学
- 大木 香(制作代表者)
木村 紀香・福田 俊吾・宇佐美 茉由 ・森 雄弥・高野 碧・多巻 麻菜・渡辺 雄太・甲 郁美 ・角花 啓斗・伊丹 彩華
- 「取調室」
- テーマ:アルコールハラスメント
- 東京工芸大学
- 高島 明日香(制作代表者)
小野 真理鈴・竹田 爽輝 ・柏倉 信・松波 璃弓・佐伯 洋志・大島 里菜・濱田 貢輝 ・佐藤 実希・舩冨 由愛・酒井 友香里・高田 博子 ・木目田 彩美・小木曽 雄輝
- 「つながれ」
- テーマ:スマホによるコミュニケーション妨害
- 目白大学
- 後関 まどか(制作代表者)
浅井 菜帆・岡安 香奈・劉 勇
- 「しまった!!」
- テーマ:SNSマナー
- 桜美林大学
- 沖野 笑花
- 「たまには歩いてみるのもいいんじゃない?」
- テーマ:自動車問題
- 関西大学
- 長友 美穂(制作代表者)
小島 千明
- 「冷めたご飯」
- テーマ:家族が揃う時間をつくろう
- 福山大学
- 石川 円香(制作代表者)
栗山 香織・大宮 未来
- 「重い槍」
- テーマ:おもいやり
- 名城大学
- 中島 雅人(制作代表者)
服部 優人・矢野 健治・小倉 宏武
- 応募学校(ACジャパン会員校 28校)
- 駒沢女子大学・城西国際大学・東海大学(文学部)・東京藝術大学・東京工芸大学・日本大学(芸術学部)・日本電子専門学校・文星芸術大学・武蔵大学・武蔵野美術大学・目白大学・東京デザイナー学院・玉川大学(芸術学部)・相模女子大学・横浜美術大学・桜美林大学・長岡造形大学・名古屋学芸大学・名古屋大学大学院・名城大学・大阪芸術大学・関西大学・京都精華大学・京都造形芸術大学・武庫川女子大学・龍谷大学・同志社女子大学・福山大学 (順不同)
講評
- そのメッセージは《自分ごと》になっているか
- 選考委員長 石井 利始
- 公共広告は間違ったことは言いません。つねに正しいことを言わなければなりません。
しかし、お説教だけで人は変われるのでしょうか?アジテーションで人は動くのでしょうか?
ルールや規制だけで人や社会は良くなれるでしょうか?
公共広告に携わるとき、私達たちはいつも《人の心》というものに向き合うことになります。
どれほど正しいことでも、一方的に上から押し付けられれば、
そこには真の態度変容は生まれず、窮屈さや反感だけが残ってしまいがちです。
その正しいことを《自分ごと》にすることができるかどうか。
自分の問題として捉えてもらうことができるかどうか。
心の内側から意識が変わるかどうか。
そのとき広告は《何を言うか》よりも《誰に言うか》《どう言うか》が大切なのかもしれません。
今回のコンクールのグランプリは「誰かの一食」。
地球規模の食糧問題をとらえたその作品には
「地球」も「飢餓で苦しむ人々」も「廃棄される食品ゴミ」も出てきません。
ごく当たり前の平和で幸せな学食の日常風景だけです。
だからこそ、そこで描かれた「一食の重み」には高いリアリティーがあり、
そのメッセージは《自分ごと》になっていったのだろうと思います。
受け手にとって興味のあること、受け手にとって実感できるものでなければ、
人は決して振り向かないものです。今回の応募作品の多くは、
今を生きている学生の皆さんの実感から生まれたと感じられるものがほとんどでした。
おめでとうございます。
そして、これからも、自分の心に向き合い、
自分以外の人の心に寄り添う気持ちを持ち続けていってください。
- 選考委員
- 委員長:石井 利始(アサツー ディ・ケイ)
- 委員:名久井 貴詞(味の素) 小出 誠(資生堂) 三浦 洋一(パナソニック) 片桐 理(ライオン) 古屋 路加(ニッポン放送) 五味 俊哉(日本テレビ放送網) 鈴木克明(フジテレビジョン) 瑞光 玲子(フジテレビジョン) 村田 浩(I&S BBDO) 阿部 晶人(オグルヴィ・ワン・ジャパン) ナガクラ トモヒコ(サン・アド) 矢追 隆(大広) 早川 和良(ティー・ワイ・オー) 中村 卓司(電通) 柴崎 悠二(電通クリエーティブX) 野田 高澄(東急エージェンシー) 板東 睦実(博報堂) 貝原 武(読売広告社) 若尾 一彦(日本アド・コンテンツ制作社連盟) 豊田 進吉(BS朝日) 島田 淳(BSジャパン) 村田 浩二(BS-TBS) 大村 九一(BS日本) 皆川 知行(ビーエスフジ) 田﨑 勝也(BS11) 小田 真幹(WOWOW) 小林 慎一郎(BS12〈TwellV〉) 八代 眞奈美(AOI Pro.) 川口 文和(太陽企画) 小簱 一浩(TYOクリエイティブ・センター) (順不同)
- ◇歴代のグランプリ受賞作品
- 第1回 「2004.10.23 その時僕らは(おにぎり篇)」長岡造形大学
第2回 「食べきれない」武蔵野美術大学
第3回 「ありがとうは無限大」武庫川大学
第4回 「TRAIN SOS」武蔵野美術大学
第5回 「ひとつあいさつくださいな」東京工芸大学
第6回 「つられ迷惑」東京藝術大学
第7回 「渡る世間はみな先パイ」目白大学
第8回 「誰でも縦並びマナー」武蔵野美術大学
第9回 「ながらスマホ二宮金次郎ー」東京工芸大学

会場(表彰式)協力
汐留電通ホール
2014年3月26日
- 主催
- 公益社団法人ACジャパン
- 後援
- BS日本 / BS朝日 / BS-TBS / BSジャパン / ビーエス フジ / WOWOW / BS11 / BS12(TwellV)(順不同)
- 協力
- I&S BBDO / AOI Pro. / アサツー ディ・ケイ/ 味の素 / オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン /サン・アド / 資生堂 / 大広 / 太陽企画 / ティー・ワイ・オー / 電通 / 電通クリエーティブX / 東急エージェンシー / 日本アド・コンテンツ制作社連盟 / 日本テレビ放送網 / ニッポン放送 / 博報堂 / パナソニック / フジテレビジョン / 読売広告社 / ライオン(順不同)
「私達が食べ残して廃棄している食べ物は、寄せ集めると誰かの一食分になる」という事を思いつき、メッセージした。